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専門医研修

初期研修を終えて進路を考える皆さんへ

奈良県立医科大学精神科・児童精神科では
「確かな臨床力」と「一人ひとりの価値観やキャリアに寄り添う教育」
を大切にしています。

奈良県立医科大学精神科・児童精神科は、高度専門医療を行う大学病院であると同時に、 県立精神科病院として地域医療の中核も担っています。専門的な精神医療に加え、 緊急措置入院や応急入院などの精神科救急、身体合併症例にも対応しています。 また、認知症疾患医療センター(基幹型)や大規模デイケアを併設しており、 児童期から老年期まで幅広いライフステージの精神疾患に触れることができます。 急性期からリハビリテーションまで多様な臨床実践を経験でき、 多職種と協働するチーム医療も充実しています。

精神科専門医・精神保健指定医の取得に必要な症例は基幹施設で十分に揃っています。 連携施設では、児童青年期精神疾患、認知症診療、司法精神医学・医療観察法、 強度行動障害、リエゾン・コンサルテーション精神医学など、 さらに幅広い領域を経験できます。

多様なサブスペシャルティに対応しており、次のような専門医資格の取得が可能です。

  • 子どものこころ専門医
  • 児童精神科専門医
  • 老年精神医学専門医
  • 臨床精神神経薬理学専門医
  • 一般病院連携精神医学専門医(リエゾン専門医)

「幅広く学びたい」「専門性を深めたい」「まずはいろいろ経験してから進路を考えたい」など、 専攻医の先生方の思いはさまざまです。私たち指導医は、その多様な思いを受け止め、 一人ひとりに合った学びの場を提供することを大切にしています。 そして、何よりも気軽に相談できる雰囲気があり、困ったときにはすぐにサポートが得られます。

当科には奈良医大出身者だけでなく、全国の大学・病院から専攻医が集まっています。 国内外の学会参加や学会発表も積極的に支援しており、研究に挑戦したい先生にも良い環境です。 他科を経験してから転科される先生もいます。また、専攻医同士の交流も盛んです。 育休・産休の取得も活発で、働きやすくワークライフバランスの取れた医局です。

精神科医としてのキャリアを考える上で、一度見学に来ていただければ 当科の雰囲気をより実感していただけると思います。どうぞ気軽にお越しください。

みなさんのご入局を心よりお待ちしています。

教授 岡田 俊

精神科領域専門医研修プログラム

研修プログラム名:奈良県立医大連携施設精神科児童精神科

基幹施設名:奈良県立医科大学附属病院

統括責任者氏名:岡田 俊(教授)

プログラム担当者氏名:岡田 俊
住所:〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
TEL:0744-22-3051
FAX:0744-22-3854
E-mail:psychiatry@naramed-u.ac.jp

専攻医の募集人数:20人

応募方法:履歴書を下記宛先に送付の上、面接の申し込みを行ってください。
宛先:〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
奈良県立医科大学 精神医学講座
TEL:0744-22-3051
FAX:0744-22-3854
担当者:山内 崇平(医局長)


基幹病院となる奈良県立医科大学精神医療センター(精神科・児童精神科)は、高度専門医療を行う大学病院としてだけでなく県立精神科病院として地域医療の中核機能も担っている。また、認知症疾患医療センター(基幹型)を設置し、認知症の医療とケアの中心的役割を担っている。児童から老年期までの専門的な精神医療の提供はもちろんのこと、緊急措置入院や応急入院などの精神科救急(特に3次救急)そして身体合併症例にも対応している。大学病院精神科としては屈指の104床のベッドを有し、閉鎖病棟、隔離室、PICU、合併症病棟を十分に備えている。専攻医は外来や入院患者の主治医となり、指導医の指導を受けながら、看護師、公認心理師、作業療法士、精神保健福祉士との多職種連携のもと、各種精神疾患に対して必要な検査を行い、クロザピンを含めた薬物療法、認知行動療法などの精神療法、修正型電気けいれん療法(mECT)、作業療法やデイケアにおけるリハビリテーションなどの治療を柔軟に組み合わせ最善の治療を行っていく。また、総合病院精神科として必須であるリエゾン・コンサルテーションにも力を入れていることから、研修の過程でほとんどの精神疾患、治療についての基礎的な知識を身につけることが可能である。奈良県下ほぼ全域の地域精神医療を担う精神科医療機関を連携施設として有しているうえに、近畿圏内で専門的な精神科治療を行っている連携施設も有するため、専攻医はこれらの施設をローテートしながら研鑽を積み、臨床精神科医に必要とされる技能・知識をバランスよく獲得し、専門医を獲得することができる。たとえば、児童精神医学は東大阪市療育センター、三重県立子ども心身医療発達センター、アルコール薬物依存症は三重県こころの医療センターや垂水病院、司法精神医学は国立病院機構やまと精神医療センターといった施設で重点的に学ぶことができる。

精神疾患は未だに多くの謎に包まれており、病理病態の解明や治療法の開発が急務である。「ベンチからベッドサイドまで」という奈良県立医科大学精神医療センターの基本的な研究理念のもと、疾患を問わず基礎研究から臨床研究まで、アプローチも多岐に渡り研究活動を行っている。なお、海外留学も積極的に推奨しており、今までも数多くの医師が、強力なバックアップの元で海外留学を経験し、一定の成果を上げてきている。海外留学を終えたこれら上級医による指導の元で、現在もいくつかの国内共同研究、国際共同研究を抱えながら、多くの大学院生が精力的に研究活動を行っており、多様な角度から精神医療の可能性の拡大に努めている。

こういったことから、当プログラムにおいては、限られた研修期間のなかで数多くの症例に当たり、臨床医としての技術を高めることができ、また臨床能力・研究能力に富む数多くの指導医をロールモデルとして自身の精神科医としての将来像を描くことができる。さらには、最先端の脳科学研究から実践的な臨床研究に触れることで、身近な臨床の先にある精神科医療の未来を見据える大局観をもった専門医となることができる。

1. 研修基幹施設:奈良県立医科大学附属病院
当院は992床を有する奈良県医療を支える中核的総合病院であり、精神科も104床という大学病院精神科としては最大規模を有し、精神科救急入院料(スーパー救急)および精神科救急合併症入院料を算定している。県病院としての機能を果たすために、県内外よりあらゆる患者を幅広く受け入れる一方で、高度専門医療機関および総合病院として、地域の精神科病院から難治性症例、児童思春期症例、身体合併症を有する症例等を随時受け入れ、治療にあたっている。

また、県下における精神科三次救急の役割を果たすべく、措置診察の実施、緊急措置入院の受け入れも行っている。さらに、妊産婦、透析患者、手術前後の症例など、身体合併症を有する患者の受け入れにも積極的に取り組んでいる。

急性期治療はもとより、リハビリテーションや精神療法にも力を注いでおり、多職種連携を行いながら、退院後の地域生活を見据えた治療を行っていることから、幅広い臨床経験を積むことができる点が大きな特徴である。

2. 研修連携施設

  1. 奈良県総合医療センター
  2. 天理よろづ相談所病院 白川分院
  3. 独立行政法人国立病院機構 やまと精神医療センター
  4. 医療法人鴻池会 秋津鴻池病院
  5. 医療法人南風会 万葉クリニック
  6. 医療法人中川会 飛鳥病院
  7. 財団法人信貴山病院 ハートランドしぎさん
  8. 社団医療法人平和会 吉田病院
  9. 医療法人財団 北林厚生会 五条山病院
  10. 三重県立こころの医療センター
  11. 三重県立子ども心身発達医療センター
  12. 伊勢赤十字病院
  13. 一般財団法人信貴山病院分院 上野病院
  14. 公益財団法人復光会 垂水病院
  15. 医療法人達磨会 東加古川病院
  16. 東大阪市立障害児者支援センター 内診療所(レピラ)
  17. 地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
  18. 医療法人爽神堂 七山病院
  19. 公益財団法人浅香山病院
  20. 医療法人貴生会 和泉中央病院
  21. 福岡大学病院

3. ローテーションについて
1年目は、基幹病院である奈良県立医科大学精神医療センターを中心にローテートし、精神科医として必要となる基本的知識と技能を幅広く習得する。外来・入院診療を通じて、代表的な精神疾患の鑑別診断や治療、精神科救急対応、身体合併症に対する理解を深めることができる。

2~3年目には、基幹病院では経験しにくい専門領域を集中的に学ぶため、専門性の高い連携施設でローテートする。具体的には、以下のような専門施設での重点的な研修が可能である。

  • アルコール・薬物依存症:三重県立こころの医療センター、垂水病院
  • 司法精神医学:国立病院機構やまと精神医療センター
  • 総合病院精神科:奈良県総合医療センター、天理よろづ相談所病院白川分院
  • 児童精神医学:東大阪市立障害児者支援センター 内診療所(レピラ)、三重県立子ども心身発達医療センター
  • 認知症医療:秋津鴻池病院、万葉クリニック

各病院では、6カ月から1年半の期間でローテートすることができ、領域ごとの専門性を段階的に高めることが可能である。さらに、単科精神科病院では、診断・治療についてより主体的に経験を積むとともに、精神保健福祉法や地域の社会資源について体系的に学ぶ機会が得られる。

専攻医の希望に応じて多様なローテーションパターンを組むことが可能であり、興味ある領域を深めながら、将来のキャリア形成に合わせた柔軟な研修計画を立てることができる。

1. 修得すべき知識・技能・態度など
専攻医は精神科専攻医研修マニュアルにしたがって研修期間中に以下の領域の知識・技能・態度を広く学び習得する。

  1. 患者及び家族との面接
  2. 疾患概念の病態の理解
  3. 診断と治療計画
  4. 補助検査法
  5. 薬物・身体療法
  6. 精神療法
  7. 心理社会的療法など
  8. 精神科救急
  9. リエゾン・コンサルテーション精神医学
  10. 法と精神医学
  11. 災害精神医学
  12. 医の倫理
  13. 安全管理

2. 各種カンファレンスなどによる知識・技能の習得
回診や院内カンファレンスで担当症例の問題点等を抽出し、議論できる能力を習得する。その過程で、過去の類似症例を文献的に調査するなどの姿勢を心がけ、知識・技能の習得の深化に努める。特に興味ある症例については、地方会等での発表や学術誌などへ投稿する。

3. 学問的姿勢

  1. 自己研鑽とその態度
  2. 精神科医療の基礎となる制度
  3. チーム医療
  4. 情報開示に耐える医療
これらについて生涯にわたって学習し、自己研鑽に努める姿勢を育成する。特に診療を通して発した臨床疑問を出発点とし、上級医の指導のもと文献検索やディスカッションを行うなどのリサーチマインドの涵養に力を入れている。この過程を通じて、科学的思考、課題解決型学習、生涯学習、研究に必要な技能と態度を身につけ、その成果を社会に向けて発信できるようにする。

4. 医師に必要なコアコンピテンシー、倫理性、社会性
コアコンピテンシーとは、精神科専門医にとって極めて重要な核となる能力であり、以下の内容からなる。

  1. 患者や家族の苦痛を感じとれる感性を錬磨し、その苦痛を和らげるための努力を継続する姿勢
  2. コミュニケーション能力を向上させて、チーム医療に積極的に参加し、必要に応じて適切なリーダーシップを発揮できる姿勢
  3. 情報開示に耐えうる適正な医療を行う姿勢
  4. 謙虚さと厳しさをもった自己研鑽の態度
  5. インフォームドコンセントや共有意思決定(シェアード・デシジョンメイキング)を実施できる能力
  6. 後進の指導ができる能力
  7. 科学的根拠となる情報を収集し、それを臨床に適用できる能力(EBM)
  8. 科学的思考、課題解決型学習、生涯学習の姿勢を身につけること
  9. 症例呈示と討論ができること
  10. 学術集会への積極的な参加。基幹施設において行われる学内研修会、各学会・医師会等が主催する講習会に参加し、さらに指導医・上級医・同僚医師、多職種連携、リエゾン・コンサルテーションを通じて身体科との連携を深めることで、社会性や倫理観を養う。

1. 年次毎の研修計画

1年目
基幹病院にて、指導医の指導の下、統合失調症、気分障害、器質性精神障害、パーソナリティ障害、児童・思春期精神疾患、発達障害、神経症性障害などの患者を受け持ち、面接技法、診断と治療計画、薬物療法や精神療法の基本を学ぶ。精神科救急場面を多く経験し、また身体科との連携によりリエゾン精神医学も経験する。面接においては、まず良好な医師・患者関係を築けるよう目指す。精神療法では支持的精神療法の習得から始める。症例検討会やカンファレンスなどで積極的に質問・討論を行い、院内外の研究会に参加して発表し、専門知識の獲得に努める。

2年目
基幹病院または連携病院で、指導医の指導の下、より主体的に面接技法を深め、診断・治療技術を高める。薬物療法を自ら行えるようになり、認知行動療法など専門的な精神療法について学ぶ。精神科救急では自ら初期対応、治療ができるようになる。連携病院では、アルコール・薬物依存、司法精神医学などの専門分野に触れて習得する。地域の連携病院では、地域精神医療や精神科リハビリテーションについて学ぶ。院内外の研究会や学会で発表を行う。

3年目
基幹病院または連携病院にて、指導医の下、より自立して診断治療を行えるように目指す。認知行動療法などの精神療法について自ら実践する。積極的に国内外の学会で発表を行う。臨床研究や基礎研究に携わる上級医と関わり、より専門的な知識を深めて、精神医学の発展のため将来的に研究に携わる可能性について考える。

2. 研修施設群と研修プログラム
奈良県下ほぼ全域に渡る精神科医療機関を連携施設として有しているほか、近畿圏内で専門的な精神科治療を行っている医療機関のいくつかを連携施設としているため、専攻医はこれらの施設をローテートしながら研鑽を積み、臨床精神科医に必要とされる技能・知識を獲得し、専門医を獲得することができる。例えば、児童精神医学は東大阪市立障害児者支援センター 内診療所(レピラ)、三重県立子ども心身発達医療センター、薬物依存症は三重県立こころの医療センターや垂水病院、司法精神医学は国立病院機構やまと精神医療センターと連携していることから、希望に応じてこれらの施設での研修を行うことで、幅広い知識を習得することが可能である。

3. 地域医療について
奈良県下ほぼ全域に渡る精神科医療機関を連携施設として有しているほか、近畿圏内で専門的な精神科治療を行っている医療機関のいくつかを連携施設として有しているが、これらは都市圏に偏在することなく、地域医療を支えている施設も含まれており、それらの医療機関で研修を積むことで地域医療についても実践できるようになる。

【評価について】
当該研修施設での研修修了時に、専攻医は研修目標の達成度を評価する。その後に研修指導医は専攻医を評価し、専攻医にフィードバックする。その後に研修指導責任者に報告する。また、研修指導責任者は、その結果を当該施設の研修委員会に報告し、審議結果を研修プログラム管理委員会に報告する。

ただし、1つの研修施設での研修が1年以上継続する場合には、少なくとも年1回以上の評価と、フィードバックを行うこととする。基幹施設の研修指導責任者は、年度末に1年間のプログラムの進行状況ならびに研修目標の達成度について、専攻医に確認し、次年度の研修計画を作成する。また、その結果を研修プログラム管理委員会に提出する。

研修指導医は、専攻医が当該研修施設での研修中および研修終了時に、専攻医を指導した内容について指導医コメント欄に具体的な指導内容やコメントを記載する。その際の専攻医の研修実績および評価の記録には研修実績管理システムを用いる。研修実績管理システム上に記録を残すフィードバックは上記のように頻度を定めるが、指導医は常に専攻医の育成を心がけ、専攻医の要請に応じて随時指導を行う姿勢で専攻医の指導に臨む必要がある。

【終了判定について】
日本専門医機構が認定した精神科専門研修施設で、精神科専門研修指導医の下に、研修ガイドラインに則って3年以上の研修を行い、研修の結果どのようなことができるようになったかについて専攻医と研修指導医が評価する研修項目表による評価と、多職種による評価、経験症例数リストの提出をもとに、研修プログラム統括責任者により受験資格が認められたことをもって修了したものとする。その際の修了判定基準は到達目標の達成ができているかどうかを評価することである。

プログラム統括責任者:岡田 俊

プログラム管理委員

  • 岡田 俊  医師 奈良県立医科大学精神医療センター
  • 山内 崇平 医師 奈良県立医科大学精神医療センター
  • 吉川 有子 看護師 奈良県立医科大学精神医療センター
  • 元吉 浩司 精神保健福祉士 奈良県立医科大学精神医療センター
  • 後藤 晴栄 医師 奈良県総合医療センター
  • 溝越 泰壽 医師 天理よろづ相談所病院 白川分院
  • 井上 眞  医師 独立行政法人国立病院機構 やまと精神医療センター
  • 岸本 年史 医師 医療法人鴻池会 秋津鴻池病院
  • 南 尚希  医師 医療法人南風会 万葉クリニック
  • 廣田 直也 医師 医療法人中川会 飛鳥病院
  • 橋本 和典 医師 財団法人信貴山病院 ハートランドしぎさん
  • 嶺 未知  医師 社団医療法人平和会 吉田病院
  • 南 雄吉郎 医師 医療法人財団 北林厚生会 五条山病院
  • 森川 将行 医師 三重県立こころの医療センター
  • 中西 大介 医師 三重県立子ども心身発達医療センター
  • 田中 哲平 医師 伊勢赤十字病院
  • 平尾 文雄 医師 一般財団法人信貴山病院分院 上野病院
  • 山本 訓也 医師 公益財団法人復光会 垂水病院
  • 森 隆志  医師 医療法人達磨会 東加古川病院
  • 相原 加苗 医師 東大阪市立障害児者支援センター 内診療所(レピラ)
  • 木内 邦明 医師 地方独立行政法人 市立東大阪医療センター
  • 本多 義治 医師 医療法人爽神堂 七山病院
  • 須藤 良隆 医師 公益財団法人浅香山病院
  • 生谷 昌弘 医師 医療法人貴生会 和泉中央病院
  • 堀 輝   医師 福岡大学病院

【専門研修プログラム委員会の業務】
専門研修プログラム委員会は、研修プログラム統括責任者、研修基幹施設および研修連携施設の研修指導責任者、研修施設管理者、研修指導医、ならびに研修に関連する多職種(看護師、精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士など)によって構成され、専攻医および研修プログラム全般の管理と継続的な改良を行う。

【専攻医の就業環境】
研修施設の管理者は、専攻医のために適切な労働環境の整備に努めるとともに、専攻医の心身の健康維持に配慮する。その際、原則として以下の項目を考慮する。

  1. 勤務時間は週32時間を基本とし、時間外勤務は月80時間を超えないこと。
  2. 過重労働とならないよう適切な休日を確保すること。
  3. 当直業務と時間外診療業務は区別し、それぞれに応じた適切な対価を支給すること。
  4. 当直業務および夜間の時間外診療業務に対しては、必要なバックアップ体制を整えること。
  5. 各研修施設の待遇等については、研修に支障が生じないよう配慮すること。
  6. 原則として、専攻医の給与等は研修を行う施設が負担すること。

【専門研修プログラムの改善】
専攻医からの評価を受け、当該施設の研修委員会において必要な改善・手直しを行う。研修施設群全体に関わる課題については研修プログラム管理委員会で検討し、対応するものとする。また、評価内容が精神科専門医制度全体に関わる事項である場合には、精神科専門医制度委員会に報告され、同委員会で審議のうえ対処する。

これらの仕組みにより、精神科領域の研修システムは日々改善され、より質の高いものとなることを目指す。なお、研修プログラム管理委員会の対応が不適切であると専攻医が判断した場合には、専攻医は精神科専門医制度委員会に報告し、精神科領域全体として対応が図られる。

【専攻医の採用と修了】
精神科領域専門医制度では、専攻医となるための要件として、①日本国の医師免許を有すること、②初期研修を修了していること、の2点を求めている。

これらの条件を満たした者について、各研修施設群において専攻医として受け入れるかを審議し、認定する。研修プログラム統括責任者は、研修プログラム管理委員会による評価に基づき、専攻医の最終的な研修修了判定を行う。

【研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム外研修の条件】
日本専門医機構による「専門医制度新整備指針(第二版)」Ⅲ-1-④に記載された特定の理由により専門研修の継続が困難となった場合、申請により専門研修を中断することができる。6ヶ月までの中断であれば、残りの期間に必要な症例等を補うことで研修期間の延長を要しない。また、6ヶ月以上の中断後に研修へ復帰した場合でも、中断前の研修実績は引き続き有効とされる。他のプログラムへの移動が必要となる特別な事情が生じた場合には、精神科専門医制度委員会に申し出る。事情が承認された場合、他のプログラムへの移動が可能となり、その際も移動前の研修実績は有効とされる。

【研修に対するサイトビジット】
研修プログラムは常に外部からの評価によって改善されなければならない。そのため、各施設の研修委員会には医師のみならずメディカルスタッフも参加し、必要に応じて第三者の参加を求めることもできる。また、研修施設は日本精神神経学会によるサイトビジットを受けることや、関連する調査に応じる義務を負う。サイトビジットには、研修プログラム統括責任者、研修指導責任者、研修指導医、専攻医が対応する。サイトビジットでは、プログラム内容が専門研修プログラムおよび専門研修プログラム申請書の内容に合致しているかが審査される。

精神科サブスペシャルティは、精神科専門研修を修了し精神科領域専門医となった者が、さらに高度な専門性を獲得することを目的とする。サブスペシャルティ学会の専門医制度は、基本領域学会がサブスペシャルティ学会と協同し、サブスペシャルティ学会専門医検討委員会(仮称)を設置し、プログラム等を作成して日本専門医機構の承認を得た上で運用される。

当プログラムで培った基礎的・総合的な精神科専門医としての能力を基盤として、将来的に子どものこころ、老年精神医学、リエゾン精神医学など、さまざまなサブスペシャルティ領域への発展が可能である。


現在、最新の情報に更新作業中です。研修プログラムの内容の詳細についてはトップページの「お問い合わせ」から担当者までご連絡ください。

担当者:山内 崇平(医局長)

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